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ブルと考えられる目的とは何かについて、社会的な状況や市民的利益の変化に適応させて検討することが求められている。チャリティの管理運営に関する苦情や不正の申し出に対して、寄付を含む財源が適正に用いられているかを調査し、責任者に対して是正措置をとることが法律に規定される権限となっている。
委員会の委員長は大臣ではないが、内務大臣によって任命される5名の委員は、議会に対して直接の責任を負っている。したがって、委員会の個別に事例に対する決定に内務大臣は介入することはできないとされている、委員会の決定についての判断を下せるのは高等法院(high court)のであり、その意味では委員会は司法的権力の枠内で活動するということになる。

 

3. ヒアリング調査から

 

(1) ネットワーク組織としてのNCVO
NCVO(National Council for Voluntary Organisatipns)は1919年に設立された団体で、およそ650の全国的な団体を会員とするアンブレラ組織である12)。この団体の主たる目的は、ボランタリー・セクターに影響を及ぼす法律や政策に対して提言すること、政府・資金提供者・スタッフ・ボランティア・利用者と協力して健全な法的・財政的・資金的な環境を作っていくこととされており、その年次報告書の冒頭には「ボランタリー・セクターは社会を豊かにし、したがって促進され、支援される必要があるとNCVOは信じている。NCVOの使命はボランタリー・セクターの大義を守るチャンピオンとして行動することであり、セクターの効率性を改善することであり、そして充足されない二一ズを発見し、それを充足するための施策を開発することである」と述べられている。
そのためNCVOは、?@国レベルで政府に対してボランタリー・セクターを代表してのロビイングをすること、?A会員である団体に対して財政・税制・法制・人事などの面についての助言を行うこと、?B新しい施策や考え方を提起しそれを他の団体に普及させること、を行っている。具体的に見ると、?@の活動としては、1993年にチャリティ法が改正された際、NCVOはその協議過程において政府に対して積極的に提言活動を行い、また1994年にはチャリティに対する規制の緩和を促進するためのタスク・フォースを設置し、提言を行った。これがチャリティ委員会の「チャリティによる政治活動のガイドライン」に対して大きな影響を及ぼしたという。

 

 

 

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